ある程度の相場価格のある霊園の永代使用料


ある程度の相場価格のある霊園の永代使用料ブログ:180905


「今日はお客様がみえるからお茶出ししてね。できる?」
ママから突然言われたのは、小学三年の秋。

お客様とは、ママの兄貴の嫁。
ボクとは血のつながりはないが、
もの静かで上品な伯母が、ボクは大好きだった。
はりきって、お茶の入れ方出し方を教わった。

伯母が到着して座敷でごあいさつをすると、
おもむろにママが目くばせをした。

よし!と台所で、ボクは教わった通りに急須にお湯を入れ、
茶葉を蒸らしている間に、お盆に木の茶托をのせ、
あたためた湯のみをのせて、お茶を注いだ。

湯のみに八分目。
濃すぎず薄すぎず…自分としては完壁だった。

得意気にそっと、伯母の前に差し出したが
ボクは緊張して、茶托の上で少し湯のみがカタカタ鳴った。

「まあ、嬉しいわ!ありがとう、いただくわね」

にっこりして伯母が湯のみを手にした瞬間、
あ!と自分の顔がサーッと冷たくなるのを感じた。

注意して入れたつもりだったのに、
茶托にお茶がこぼれてしまっていたのだ。

あろうことか、
湯のみといっしょに茶托が持ち上がるのを見た瞬間、
思わず目をつむったボクの頭の中に…

次にくるであろう光景がパパーッと、
早送りの走馬灯のように浮かび上がった。

…湯のみにくっついて持ち上った茶托は、
カチャーンと音をたてて落ちる。
困ったような伯母の顔。あわてるママ。
ふきんを手にするママの姿まで思い浮かび、
ボクはさらに強く目をつむった。
しかし…あれ?

ボクが恐る恐る目をあけてみると、
なんと茶托は、伯母の左手の上にあった。

落ちる寸前、伯母はすばやく茶托を受けとめていたのだ。

そして、普通に静かに、お茶を一口飲み、
「まあ、おいしい」
と、言ったのだった。

ボクは嬉しさと安堵と、
気はずかしさで何ともいえない心持ちだった。

じゃんじゃん


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